高松高等裁判所 昭和26年(う)1161号 判決
刑訴法第三二三条に云うところの「前二条に掲げる書面以外の書面」とは本来伝聞の性質をもつが供述書及び供述録取書でなく特に訴訟に役立たしめるために作成されたものでない書面を云うのであると解するところ所論法務府特別審査局長発松山地方検察庁検事正宛の発行停止理由を添えた通知書二通並同局長の発行停止証明書(孰れも謄本)は、所謂供述書及供述録取書ではないし特に訴訟に役立たしめるために作成されたものとも云えないから第三二三条により当然に証拠能力を有するものである、従つてその作成者を訴訟関係人の尋問にさらさないでも又被告人等の不同意に拘らず証拠調をすることもできるのである。それ故それに対しては反証人は第三二八条の証明力を争うための証拠として作成者の取調べを求めて証明力の減殺を図る以外には方法がないのである。叙上の結論に鑑みれば第三二三条の書面には第三二〇条の伝聞証拠禁止の制限も叙上の限度において緩和する趣旨であるのを窺うことができる。そうすると原審の訴訟手続、採証等には所論のような違法はないと云わなければならない。